内藤了さんの「よろず建物因縁帳」1巻から最終巻までの10冊。
長かったですね。以前、書いたように1冊ずつと思ったのですが、まとめてしまいました。今は「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」を読み進めています。
1巻から最終巻までのタイトル
・1巻 鬼の蔵
・2巻 首洗い滝
・3巻 憑き御寮
・4巻 犬神の杜
・5巻 魍魎桜
・6巻 堕天使堂
・7巻 怨毒草紙
・8巻 畏修羅
・9巻 蠱峯神
・最終巻 隠温羅
内容紹介
広告代理店勤務の高沢春奈(たかさわはな)が仕事で訪れるのは、大体が田舎の旧家だったり曰く付きの建物や土地だったりします。そこで出会うのが因縁物件専門の曳き屋を生業とする「隠温羅流(おうらりゅう)」の導師・仙龍です。
主人公の高沢春奈は、実は「サニワ」と呼ばれる審神者(霊魂と話せる霊能者)で怪異を呼ぶ性質の女性です。本人は、そのことに気がついていないのですが、仙龍と出会ったことにより、徐々にサニワであることを受け入れていきます。それが二人の絆を深めて行ったのでしょうね。
そして、42歳の厄年に死ぬ運命にある隠温羅流の導師・仙龍の因縁を断ち切ろうと、過去の文献を調べたり、実地調査に向かったり、縁の人々を訪ねたりします。最終的に隠温羅流の因縁を解き明かし、仙龍の命を救うことが出来るのか。
といった感じでしょうか。すごく簡単にまとめてしまいました。
読み終えて
香月日輪さんの小説を読んだ時にも思ったことなのですが、古くから伝わる言い伝えやしきたりには、それぞれの理由があり、それを破ってはいけない、女人禁制を差別だと言って簡単に受け入れてはいけない。反対に男性が簡単に近寄ってはいけない場所もある。この現代社会でも守っていかなくてはいけない古くからのしきたりがあるのだということを考えさせられましたね。
サニワという人の存在、そして曳き屋という職業の存在も今回初めて知りました。60年生きてきたけれど、知らないことが多い。多いというより、知らないことだらけなのかもしれません。
作家さんというのは、1冊の本を書き上げるためにどれだけの本を読み、どれほどの調べ物をするのか。巻末の参考文献を見るだけでも頭が下がります。そして読者は、作家さんのそういった努力でもって、今まで知らなかった世界を知ることができる。
インターネットで検索をして済ませてしまうのではなく、やはり読書って大切よね。子ども達には、とにかく本を読みなさい。と言ってきたけれど、あいにくと本を読む習慣は身につかなかったようです。
私が育った家は、建て直すまでは田舎の古い家でした。夜中にトイレに行こうとしても怖く怖くて仕方がありませんでした。暗闇に何かが潜んでいそうで、暗闇から何かが出てきそうで。実際、天井の隙間から青大将が目の前に「ドサッ」と落ちてきた時は、飛び上がって「ぎゃー」と叫んだこともあります。親が何事かと飛び起きてきましたっけ。そんなことを思い出しました。
内藤了さんについて
長野県長野市出身。デザイン事務所を経営。2014年に「ONE」で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しデビュー。同作からはじまる「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」はテレビドラマ化されました。